つい寸刻前まで生きていたウォルフィンが息絶えていた。
赤子の手に収まるくらいの鉛玉が、まばたきするだけのわずかな時間で命を奪う。
その残酷さに背筋がうそ寒くなった。
呆然とするティファニーの前に、一丁の猟銃が放り出された。
銃口から、青白い煙が細く揺らめいている。
ウォルフィンの命を奪った凶器だ。
(いったい、誰が……?)
疑問を抱いたティファニーの耳元で、かちゃりと冷たい金属音が鳴る。
こめかみの辺りに硬いものが突きつけられた。
見なくても分かる、これは拳銃だ。
下を向いたまま視線を横にずらすと、そこにはさっき目にした脚があった。
「動かないで、ティファニー」
セイクリッドだった。
ティファニーを追いかけ、彼女を食い殺そうとしたウォルフィンを仕留めたのだ。
「僕は君に引き金を弾きたくないんだ、じっとしていて」
下を向いたまま、ティファニーは手を握りしめた。
聞かなければならないことがあった。
「……どうしてなの」
「うん?」
「あなたでしょ、あの人たちに私の目のことを教えたの。
どうしてあんな嘘をついたの?
私の目のせいで、ルースがこんなに大変なことになっているだなんて。
『無色の瞳』は生き物が見たら怖いと感じる。
でも、ただそれだけよ、こんな悪いことを引き起こすような力はないわ」


