極彩色のクオーレ






高く伸びた葉や蔦が足を叩く。


横に広がった枝が頬を打ってきたが、痛みは感じなかった。


死にたくない、死にたくない、その気持ちが支配していて痛みを感じる余裕などなかった。


私は生きていたい。


生きて、大切な人たちと一緒にこの街で過ごしたい。


やっと未来への希望を抱けたのに。


『無色の瞳』を街の人たちに受け入れてもらえる未来があるかもしれないと思えたのに。


死んでしまったら、それですべて終わりだ。


足を止めたら捕まえられる。


捕まるのは死ぬのと同じ意味だ。


ティファニーはガイヤの森を抜けたことさえも気づかず、夢中になって走った。


剣呑さを潜めた陰が、すぐ後ろから追いかけてきているようで怖かった。



「あっ!」



何か硬いものにつま先が引っかかり、ティファニーは転倒した。


両膝を打ちつけ、痺れるような痛みが駆け上がる。


のろのろ身体を起こして辺りを見回したが、自分がどこにいるのか分からない。


何も見ずに走り続けた結果、森に迷いこんでしまったようだ。


太陽の光が薄くしか届いていないせいもあり、不安がのしかかってくる。



「ここ、どこだろう……」



ティファニーは傍に佇んでいる細い木に手をついて立ち上がった。


泥がつき、膝の辺りが擦れてしまったスカートをぽんと叩いてゆっくり歩く。