「ぼさっと突っ立ってねえで、手を挙げろ、ゆっくりだ。
ちょっとでも妙な動きをしたら撃つ」
それはセイクリッドのそばで銃を構える狩猟頭のものだった。
脅しでも何でもない、本気の声。
ティファニーは指示通りゆっくり手を挙げる。
しかし目隠しがほどけてしまうから、どうしても右手は側頭部から離せなかった。
すぐに男の怒声が飛ぶ。
「何やってんだ、片手じゃねえ、両手だ。
てめえ、俺たちを舐めてんのか?」
ティファニーは迷った。
目隠しの端は縛っていない、この手を離したら確実に外れてしまう。
けれども、指示に従わなければここで殺される。
もはや選択の余地はなかった。
ティファニーは目隠しの下で瞼を降ろした。
右手を恐る恐る挙げる。
やはり目隠しは右手が離れた瞬間、するすると顔から床へ滑り落ちてしまった。
露になった愛らしい顔立ちに、男たちの間の空気が揺れる。
「ほ、本当に……こいつが、本当に元凶なのかよ?」
誰かが唖然として言った。
それに別の誰かが同意する。
「こんなかわいい顔しているのに……」
「ああ、信じられねえ……」


