――ダンッ!!
突然聞こえた荒々しい音にティファニーは身体を竦めて振り返った。
それは玄関のドアを破ろうとする音だった。
明るい気持ちになっていたティファニーの心に緊張が駆け回る。
和やかな雰囲気が、一瞬ではりつめる。
「出てこい、刺繍屋」
敵意をむき出しにした怒鳴り声が、ドアの向こうから聞こえた。
他にも話し声はするがはっきりとは聞こえない。
(もしかして……お母さんが言っていたことが、起ころうとしている……?)
目眩がした、嘘であってほしかった。
でも、あそこにある暴力のかたまりが、残酷な現実をティファニーに突きつけてくる。
忘れていた恐怖が競り上がってくる。
(隠さないと、隠さないと――)
ティファニーは恐怖に震えながら、また落としてしまった目隠しを摘まんだ。
急いで顔に巻くが、指が震えているせいでうまく力が入らない。
苦戦している間もドアは強く叩かれ、やがて壊される音が響いた。
人が来る。
武器の臭いと音がする。
日常が壊されてしまう……そんな予感がする刺激だった。


