写真には優しい笑顔を浮かべている母と、そんな母の肩を抱くどこかぎこちない表情の父。
そして、母に抱かれている幼い頃のティファニーが写っていた。
家族そろって撮った、唯一の写真である。
今までは寝室に置いてあったが、思い切ってリビングに出してみた。
『無色の瞳』は白黒の写真でなら恐怖を感じないようで、ニコたちは興味津々に見てくれた。
懸念していたことが解消されて、楽しむ声を聴きながらティファニーはこっそり喜んでいた。
ラリマーが知ったら悔しがるわね、とリビアが嬉しそうに言っていた気もする。
家より小さなものを作ったことのなかった父が、見よう見まねでつくった撮影機で撮った。
からくり職人の知恵も借りて、時間を設定すれば自動的に撮影する仕掛けをつくり、3人そろって写ることができた。
その撮影機はすぐに壊れてしまったので、結局撮ったのはこの1枚だけだが。
「……今日は家、いつもより静かでしょ?
ニコもセドナもお仕事で街へ行っているから、いるのは私だけなんだ。
ニコは中央塔の改装を手伝うんだって、すごいよね」
ティファニーは写真の中の両親に言葉をかけた。
返事はもらえないとは分かっているけど、それでも、少しだけでも届いたらいいなと思って、口を動かす。


