よって、セイクリッドにだけは秘密を伝えていない。
仮にセイクリッドと会う機会があったとしても、彼には何も話さず、今まで通り目の見えない刺繍屋を演じていただろう。
もちろん、彼との付き合いがまだ短いからというわけではない。
彼は数少ない友達だ。
ただ、本能的に話してはいけないと感じたのだ。
セイクリッドは明朗快闊で聡明で、隔てなく誰とも接する人物だ、大衆の先頭に立つのにふさわしい青年である。
しかし、自分の内面を一切他人に見せない面もあった。
ニコでさえ、セイクリッドの心の動きは分かりにくいと言っていた。
当然ティファニーも、彼の声を聴いても何も悟ることができない。
けれども、ティファニーはセイクリッドが持つ、人前では絶対に見せない他方の面を嗅ぎ取っていた。
それは、敵と判断した相手を容易に切り捨てる面。
立場が高ければ高い人ほど、その気質が濃くあった、セイクリッドも例外ではないようである。
かつての友であっても、情に左右されず、迷わず武器を突きつけられる。
言動の端々から、そのような気配を感じ取った。


