極彩色のクオーレ






「この国に、『彩霞ノ民』の血をひく者がいます」



セイクリッドは意識して冷静な声をつくる。


ロスティルたちの間に戦慄が走るのが、気配と呼吸で読みとれた。


はやる心を押さえるため、小さく息を吐いた。


そこに恐怖をじわりと駆り立てる言葉を載せる。



「非常に言いにくいのですが……その人物はもうじき、成人を迎えます」


「そっ、それは本当か、セイクリッド殿」


「残念ながら、恐らく攻撃から逃れた者の生き残りの落とし子でしょう。


殲滅したのは20年前。


赤子だとしても、生き残りならばとっくに成人しているはずですから」



ロスティルは真っ青になり、ふらふらと椅子に倒れるように座った。


他の者たちの顔にも、それぞれ不安が表れている。



「殺すとまではいかなくとも、せめて年が変わるまで人里から遠く離れた地へとやる必要がある。


成人が1人だけでも、数百人の民が命を落としたケースがありましたから、ルースの災厄がこれだけで終わるとは言い切れません」


「それなら今すぐにでも」


「いいえ、それはダメです」




まとめ役の言葉を、セイクリッドは短く遮った。


彼を振り向いて、ゆっくりと否を示す。