極彩色のクオーレ






ヨリジェの血に塗れた暗い過去に、室内は沈黙していた。


暖炉の火が薪を焼く音だけが静かに鳴る。


それを破ったのはロスティルだった。


口髭をつまみ、まだ自分たちに背を向けている王子へ問う。



「ヨリジェ国に、そのような滅びの道を辿った一族がいたとは、知らなかった」


「確かな情報は漏れでないよう、箝口令を敷いていましたからね。


どこかの国の伝説、といった程度に留まっていました。


実際、僕も両親から教えられるまで全くその存在を認識していませんでしたから」


「それで、その話と今回の元凶とが、どう関係していると言うのです」



調子を戻した様子で、使者が拭いた眼鏡をかけ直した。


セイクリッドは束の間目を閉じる。


眼裏に映る、先日の小物屋での出来事。


目の当たりにした秘密が再生される。


また震えが走った手を握りこみ、セイクリッドは気息を整え瞼を上げた。


硝子の中で自分を見返す瞳からは優しさが消え失せ、鋭い光だけがとり残されていた。



(あと少し……あと少しだ。


これで、クイーンは僕の手に堕ちたも同然になる)