セイクリッドは含みのある言い回しをした。
王家の支配を草創の契約によって拒む少数民族と、激しい気性を根底にもつ国王。
結末は、聞かされる前から予想がついていた。
「堪忍袋の緒が切れた父王は、その翌日に『彩霞ノ民』殲滅の命を下しました」
殲滅。
これも馴染みのない血腥い言葉だった。
自ずと空気が沈んでいく。
セイクリッドだけは淡々とした調子で話を進めていた。
「反対者もいたようでしたが、王家は和解をちらとも考えず、少数を切り捨て大衆を守る道を選んだんです。
まず力のある男たちを、和解についての話し合いと称して族長と共に帝都へ呼び出し、その道中で殺害しました。
詳しい状況は分かりませんが、渡らなければならない吊り橋を切って谷底へ落とし、さらにそこに控えさせた兵士に斬殺させたようです。
それから闇に乗じて『彩霞ノ民』の住む山麓へ向かい、残っていた力のない民をしらみ潰しに殺していきました。
生まれて間もない赤子から先の永くない老人のことごとくを。
……それ以来、ヨリジェでは死人が出る大災害は起こっていません。
見張りの報告に間違いはなかった、それが証明されました」


