極彩色のクオーレ






「セイクリッド第2王子、この資料は21年前までのものしかないが、近年のデータは取っていないのか?」


「取ってはありますが、必要なかったので除外しておきました。


ちなみに、その資料で全ての災害は網羅しておりません。


『彩霞ノ民』の中で成人となる者がおり、大きな災害が発生した年のものだけを集めました。


もちろん成人がいない年にも自然災害はありましたが、ここまでひどい被害ではありませんでしたね」


「ほう、それは偶然にしちゃあ出来すぎているな」


「『彩霞ノ民』が成人になると、その人が暮らす周囲で災害が起きる……奇妙なことですね」



頭が感心したように言って、資料をアウィンに返した。


その隣で、幹部が顎に指を添えて考え込む。


セイクリッドは再び闇空へ向いた。



「そして20年前、僕の生まれた年ですが、見張りの調査で成人を迎える者がこれまでよりも多いことが発覚しました。


どのような災害を引き起こすのか……それを怖れた父王は、『彩霞ノ民』に国を離れるよう提案しました。


当然、彼らの返答は否でした。


先にこの地で暮らしたのは我らの一族だ、そう簡単に捨てることはできない。


我々が成人になるごとに災害が起こるなど単なる偶然の重なり、そのような呪詛など持ち合わせてはいない。


そこまで恐れるのであれば、後から踏み入ってきたお前たちが離れるがいい、と。


彼らの若い族長は父王の伝令にそう告げました。


契約を振りかざして幾度も支配や命令を拒んできた『彩霞ノ民』は、父王の目の上のたんこぶでした。


そのうえこのような挑発的な言葉は、和解の道を絶ったも同然でしたね。


若気の至りとはいえ、彼は一族にとって最悪の選択をしていたんです……取り返しのつかない選択を」