「建国当初から僕の祖先は、『彩霞ノ民』は瞳さえ見なければ無害であると考え、見張りを常時つけるだけにしておきました。
国内で災害が発生した時、契約を結んだとはいえ何も協力しようとしない彼らに時折腹をたてながらも。
しかし36年前、これまでになく大きな災害が国のあちらこちらで起こりました。
実際それより前にも災害が起こった年はありましたが、比べものにならない規模のようでしたね。
ある地域は大旱魃で水不足に陥り、ある地域は土砂崩れで、沿岸部は津波によって多くの民が犠牲となった。
今でも、建国史上最悪の年だと言われていますよ」
そう言ってセイクリッドは自嘲的に笑った。
年相応ではない疲れた顔に、やはり誰も口を挟むことはできず、曖昧な反応だけをとる。
「その翌年、見張りを続けていた兵士から報告がありました。
災害が発生した年には必ず、『彩霞ノ民』の中で16を迎え成人になる者がいたということを。
そしてその人数が多ければ多いほど、災害の規模や被害が大きくなるということが判明しました」
セイクリッドに指示され、それまで隅で大人しく立っていたアウィンが資料をテーブルに出した。
それは21年前までに起こったヨリジェ国内の災害と、その年に成人となった『彩霞ノ民』の人数を記したものだった。
その中にはロスティルたちも噂程度に耳にしたことのある災害もあったので、信憑性はある。
資料に目を通していた使者が、ふいに何かに気付いた様子で質問した。


