がははと笑って、頭がロスティルの背中をバシバシ叩いた。
かなりの威力なのか、彼の顔が少しだけ歪む。
「ルースは技術の街だが、そこまで財力があるわけでもねえ。
それに帝都から離れた1つの街だ、権力もドベから数えた方が早い。
街長の力じゃできないことだと思うぜ、なあ街長」
「ははは、そうだな……」
ロスティルは心なしか沈んだ声で同意した。
すると、今まで黙っていた使者がノートを脇に置いてロスティルに向いた。
「ロスティル街長」
「はい」
「ルースでは以前にも似通った事例があったという報告を受けている。
それにも関わらず外国の力まで借りる次第になったということは、その経験から何も学んでいないという解釈になるがよろしいか」
彼の凛とした冷たい音声に、ロスティルだけでなく頭たちまで背筋が伸びる。
セイクリッドはゆったりした姿勢のまま、にこやかに使者を見つめていた。
他人の威圧感くらいで余裕をなくす男ではない。
「場合によっては街長を解任されかねない状況だ、もっと慎重に事態を処理すべきではなかったのか?
貴殿は街長の存在をどう思われている、もう一度よく考え、それも踏まえて報告をせよ。
……今のは国王陛下のお言葉である」
淡々と告げていく使者の文句に、ロスティルの顔色がみるみる青ざめていった。
事件を街や国の人間だけで対処しようとせず、早い段階からヨリジェ国の力を借りた。
そのことを責めているのだ。
国王の言葉の裏には、まだまだ潜められた意味があるのであろうが。


