極彩色のクオーレ






口々に自分の功績を讃える言葉をもらい、セイクリッドははにかみながらも軽く頭を下げた。


使者はなにも言わず、手元の紙になにやら書き留めているが無視する。



「お礼を言ってもらうほどのことではありませんよ。


僕は隣国の王子として、当然のことをしたまでの話ですから。


リシャーナ国王陛下はご体調が芳しくないので、対応なさるのも大変なのではと思いましてね」



セイクリッドは使者をちらりと見てみる。


一瞬だけ、淀みなく動いていたペンが止まったが、それだけだった。


けれども流れる空気が凍りついたことに気づいていない人間はいない。


ロスティル街長が取り成すように言った。



「それにしても、ヨリジェの王子にここまでしていただけるとは、我々は本当に命を救われた。


この分なら今年の冬を越せそうだ。


改めて感謝いたしますぞ、セイクリッド殿」



ロスティルが頭を下げたので、頭たちも慌ててセイクリッドに礼をする。


使者も国の一部を助けられたということで、しぶしぶと仕方なさげにならった。


セイクリッドが苦笑し、困ったように手を振る。



「恐縮です。


そんなに大したことをやったわけでもないのに、こんなにお礼を言ってもらえると……」


「大したことだよ、あんたが俺たちにしてくれたのは」