赤紫色と少しの金銀を基調とした、豪華ながらも落ち着いた雰囲気の談話室には、ロスティル街長以外にも数人の男がいた。
狩人たちの頭、農夫たちのまとめ役、ルースで商売を頻繁に行う商人の組合幹部……
今回の事件でそれぞれ大きな被害を受けた者たちの代表者だ。
セイクリッドの支援により、どうにか元の生活を取り戻しつつあるため、彼らは歓迎するように微笑んでいた。
ロスティル街長もである。
そして、そのなかにはリシャーナ国王の使者の姿もあった。
眼鏡を押し上げ、こちらは観察するような目付きでセイクリッドを見つめている。
「皆さん、こんばんは。
遅くなってしまってどうもすみません」
彼らの視線を特に気にすることなく、セイクリッドがにこやかに詫びて椅子に腰掛けた。
無駄なところが一切ない優雅な動きに、何人かが目を奪われかける。
狩人の頭が咳払いし、たくわえた豊かな髭を摘まんだ。
「ああ、まったくだよ、何分の遅刻だ。
いくらあんたといえども、この重要な議会に遅れるとはけしからん」
「まあまあ、そんなに怒ることもないでしょう。
セイクリッド王子もお忙しいんだ。
角を立てることないじゃないですか、ねえ街長」
組合幹部がやんわりと諫め、ロスティルに同意を求めた。
ロスティルは恰幅のいい腹を撫でて苦く笑った。


