「私から離れたほうがいいとは今も思っているわ。
でも本当は私、そうしたくないの。
これからもずっと、みんなと一緒にいたいよ。
それに……母さんとの約束破っちゃうけど、目隠しなんてしたくない。
耳や肌だけで感じていたものを、全部見たいの」
例えばそれは、暖かな陽気に照らされる街の風景。
それに包まれる森や、その中を囀りあい鳴きあいとび回る小鳥たちや獣たち。
そして、いつも傍にいてくれる仲間の姿。
写真ではない、動いて、喋って、豊かに表情を変えていく姿だ。
笑ったり、怒ったり、真剣にぶつかり合ったり……そうする中で成長する彼らをずっと見てみたかった。
自分の瞳を目にした相手がどうなってしまうのかは重々承知しているが、これがティファニーにとって切なる願いだった。
大事な人たちと一緒に居たい。
その姿をこの瞳で見守っていたい。
誰も傷つけず、傷つけられずに生きていきたい。
「もう、独りぼっちになるのは嫌だよ……」
ほとんど吐息となったティファニーの言葉に、セドナの意識はわずかの間過去へ遡った。
まだ両親が存命していた、初めてこの家を訪れた幼い日だ。
あとから教えられたことだが、あの日は彼女が母親が亡くなって半年が経過したときだった。
その半年間、ティファニーはここに独りきりでいたのだ。
独りでいるには広すぎる、大きな悲しみをまとう別れを育ててきた優しさと温もりが詰まったこの家に。


