「クソっ!!」
セドナは荒々しく床を踏み鳴らした。
ヒーラーの作業テーブルを思い切り叩く。
しかし、この程度でこみ上げる怒りが鎮まるはずもない。
手の痛みも加わって、身体の奥が熱くなった。
ぶちまけてしまいたい。
そんな衝動に駆られる。
紙袋も、ポケットにしまってある髪留めも、工具も、ここにあるもの全部。
壁や床に叩きつけてしまったら、どんなにスッキリするだろう。
「セドナ」
紙袋を持つ手に力がこもった時、名前を呼ばれた。
少年だった。
作業机の傍に立ち、セドナを見つめている。
彼の瞳に、同情や哀れみの感情はない。
蔑みや悲しみ、怒り、嫌悪、絶望、そういった類もない。
ただ、セドナを映していた。
少年と目が合った瞬間、セドナの怒りが徐々に収まった。
代わりに、鼻の奥がつんとする。
セドナは泣きそうになるのをぐっとこらえ、少年に背を向けた。


