「いいのよ、父さんが変わり者なのは本当だから。
それに父さんは母さんに一目惚れしたから、ますます一緒に居たいと思ったんじゃないのかしら。
母さんも瞳を見ても怯えない父さんのところに居た方が安全だと考えて残ったの」
「それで親父さんとお袋さんは結婚することになったんだな」
倒れた椅子を起こしてラリマーがそこに腰掛けた。
「そうなのよ。
でも父さんが結婚の話を切り出すまでに4年もかかったんだって」
「はあっ?」
「二人ともお互いのことが好きだったみたいだけど、母さんは瞳のことを気にしていたし、父さんも遠慮していて黙っていたのよ。
母さんは5年経ってもそういう関係になれなかったら出て行こうと考えていたから、父さんはぎりぎり間に合ったのよね」
「そういう関係って?」
「お子様にはまだ早いことだよ」
首をかしげたケセラの横で、ギベオンが冷たい声ではっきり言う。
彼女の頭をタンザが軽く叩いた。
いつでもギベオンは、特にケセラに対して辛く当たりすぎる。
「結婚してから、すぐに私が生まれたの。
でも、私が『無色の瞳』を持っていることを知った母さんたちは、私を街の人たちから隠すことにした。
外に出てはいけないと何度も何度も言われたわ。
だけどその理由を教えてもらえなかったから、小さいときはどうしてだろうって思ってた。
こっそり抜け出そうとして失敗したことも山ほどあったな……」


