「……先輩。まさかあんた、俺の依頼を横取りしたんじゃ」
「変な言いがかりをつけないでくれるかしら~?
一体何を根拠に言ってるのよ?
なにか証拠でもあるなら見せてみなさいよ、ホラ」
ヒーラーが顎を突き出した。
そう言われると、何も返せない。
セドナは黙ることしかできなかった。
俯く弟弟子に、兄弟子はやけに甘ったるい声をかけた。
「キツイこと言っちゃってごめんなさいね。
でも、確かなこともなく人を疑うのはよくないのよ。
誰からも相手にされなくなっちゃうわ。
そんなことになったら辛いわよ~。
今回は取り乱しちゃったことにしといてあげる。
ショックを受けたら、誰だってそうなっちゃうものね。
ワタシもそこまで鬼じゃないから」
「……失礼します」
感情を押し殺した声で、セドナはどうにかそう言った。
これ以上ヒーラーの顔を見ていたくなかった。
事実がどうなのかは分からないが、いずれにせよ、客をヒーラーに取られたことに変わりない。


