当たり前のことなのに今までちっとも分かっていなかった、目の前にかかっていた靄が一掃されたような気分だ。
ティファニーは肩を動かして息を吸い込む。
「あーあ、嫌になっちゃうわ、自分のこういうところ。
ニコに居てもらいたいと思ったときはちゃんと言えたのに」
「そうですよ、ぼくが『必要』の心を覚えたのはあのときですから。
教えてくれたティファニーがそれを失くしてしまうのは嫌です」
「……そういえばそうだったわね」
1年近くも前の出来事だが、昨日のことのように鮮明に覚えている。
助けを求めること、それも『必要』の心だ。
それはつまり、仲間を信頼しているという何よりの証になる。
言い換えれば頼らないことは、すなわち信用してないという意味だ。
(私はここにいるみんなが大切だ。
私のせいでみんなが傷ついてしまうのは絶対に嫌、そんなのすごく悲しい。
でも、みんなのことを心から信頼している。
だからもう、ずっと隠し通そうとしてはいけないんだ)
布団をフードのように深くかぶり、裾をにぎりしめ、ティファニーはセドナたちの方へ振り返る。
全員の視線がすっと彼女のもとに集まる。


