しかし、ニコは驚かなかった。
足を止めずにティファニーの傍らに到着し、布団ごと彼女を抱きしめる。
その下でティファニーの身体が恐怖に強ばるのを感じた。
「命令を無視してすみません。
でも、ぼくがそれを聞くわけにはいかなかったので」
「……なんで?」
「君が自分の心に嘘をついている気がしたから」
ニコは布団の上から主人の背中を優しく撫でた。
子どもをあやすように話しかける。
「ティファニー、ここは君の家、ルースで一番安心できる場所ですよ。
いるのはセドナやラリマーたちだけ、君がよく知っている人たちだけです。
君を傷つけようとする悪いものは何もいません、怯えないでください。
『来てほしくない』だなんて嘘をついて、無理に遠ざけようとしなくていいですから」
本人は気づいていないだろうが、彼の口調も落ち着かせ方も、ティファニーのそれとよく似ていた。
ゴーレムは主人に似る。
ニコを見つめながら、セドナは服の心臓の辺りを握った。
(俺もあいつと長い時間一緒にいるのに……あいつみたいにはなれねえんだな)
人間とゴーレムの異なる部分が、なんだか切なく感じられた。
自分たちも彼らのように、美点を吸収できるようになれたらいいのに。


