やはり何かおかしい。
どうしてこんなに楽しげなんだろう。
首を傾げたセドナの視界に、奥に吊るさっているコルクボードが映った。
左半分は工房の経営関係、右半分にはヒーラーが受けた依頼関係のメモが貼ってある。
その右半分の隅に、今朝まではなかったメモがあった。
記されている名前は――――『エレス』
どくり、と胸が不快に鳴った。
「……せ、んぱい。あのメモは」
「んん~?」
ヒーラーがわざとらしく眉を上げてコルクボードを見る。
それから、パチンと手を叩いた。
「ああ、そのエレスというお嬢さん。
アンタじゃなくて、ワタシに依頼することになったのよ」
「……ぇ」
掠れた声しか出ない。
声帯が喉の奥にへばりついてしまったようだ。
胸の音が速くなっていく。
ヒーラーの言っていることが、理解できるようでできなかった。


