ケセラの言葉に、セドナたちもその狐のぬいぐるみに注目した。
後ろから覗き込んだハックが感心した声を出す。
「へえ、リビアに負けないくらいよくできてるじゃん。
さすがは刺繍屋ってとこだな」
「そういえば、ニコのバンダナ新しいものになってたんだな。
ティファニー、これ繕った方が楽なのにしなかったのか」
タンザが確認するように見てきたのでニコは頷いた。
「布のあちこちが傷んでいたみたいなんです。
でも捨てるほどボロボロではないからと、人形に作り替えていました」
「あいつ、綿持って何にしようか悩んでいたぜ」
ラリマーがいたずらっぽく笑う。
それになんだか腹が立ったのでセドナは彼の後頭部を軽く殴った。
追いかけてくる視線を無視して、ケセラの手からぬいぐるみを摘み上げる。
ビーズの黒い目が可愛らしい。
「ティファニーが狐が好きだからな。
あいつが好きな動物に作り替えてもらえてよかったな。
仕方ないとはいえ、ずっと使ってたものを捨てるのは自分でもちょっと辛いだろ?」
「辛い、ですか……」
繰り返して、ニコは自分の左胸に手を当てた。


