ラリマーは床に転がった籠をテーブルに置き、そのなかにぬいぐるみを入れる。
「女の子の私物を投げるなよー。
そこはせめて自分のだろ?」
「誰のせいだ!」
「俺たちが持ってる投げられるものっつーと工具くらいしかないんだけど。
これ投げつけてもいいのか?」
「苛ついたらすぐ傍にある物投げたくなるよな、よく分かるぜ。
素早いストレス発散はハゲずにすむぞ」
ハックが工具を出そうと鞄を漁り出した途端、再びお盆を構えてラリマーはころっと意見を変更した。
命の危険を察知してのことだろう。
頭を抱えテーブルに伏せて巻き添えを食らわないようにしていたケセラは、ほっとして何気なく狐のぬいぐるみをみた。
狐の形をしているけれど、その色は茶を帯びた黄色ではなく紺色。
腹部の柄はまるで竜の鱗だ。
(このデザイン、どこかで……)
ぬいぐるみを手に取りケセラは首をかしげたが、向かいに座るニコを見て思い出した。
「ねえ、ニコさん」
「なんですか?」
「この狐の人形って、ニコさんが前に使っていたバンダナの布で作ってあるの?」


