「それじゃあもしかして、彼女の目を……いや、やっぱり何でもない」
歯切れの悪い語調に、ラリマーは眉間にしわを寄せた。
「はあ?おいおい、そんな気になる言い方で止めんなよ。
だったら最初から聞くなっての」
「それは申し訳ない、でも今のは忘れてくれ。
足止めしてしまって悪かった、はやく彼女のところへ行ってやって」
「お、おう……」
ラリマーは訝しげに首をひねりひねり、ギベオンたちが去った方へ走る。
何たる無礼と衛兵がその背中を睨みつけた。
すると、セイクリッドが何も言わず彼から離れていく。
それに気づいた衛兵が慌てて尋ねた。
「王子、どちらへ行かれるんですか?
もうじきロスティル街長と農村部を視察するお時間ですよ。
ヨリジェからまた土が届く予定ですし」
「分かっているよ、もちろん。
それまで少しその辺りを歩いてくるだけだ」
「私もお供いたします」
「いや、僕独りで歩きたいんだ」
短く断って、セイクリッドが止めた足を再び動かしかける。
衛兵が急いでその前に回りこんだ。
両手のひらを彼に向かって突き出し、進路を阻む。


