軽く頭を下げ、ニコは踵を返してリビアのところへ進んだ。
リビアは「もう誘うんじゃねえ」と悪態をつくセドナの肩に肘を落としていたが、もちろんニコはその経緯を知らない。
「ニコ、ティファニーは大丈夫なのか?」
「取り乱したら手刀落とせって、それ教えたの絶対ヤブ医者だぞ。
お前騙されてるからな、もう二度とやるなよ」
「こんなか弱い乙女にも手を上げられちゃうのね、意外だわ」
「てぃ、ティファニー、何ともない?僕のせいなの?」
セドナとレムリアン以外が口々に話す。
全部の声が重なりあい、どの言葉もニコの耳に正確に入らない。
ニコは彼らの顔を見回してからリビアに尋ねた。
「リビア、君の馬車を貸してくれませんか?
ティファニーを家まで運びたいんです」
「ええ、もちろんよ。レムリアン」
「承知シタ」
深々と頭を下げ、レムリアンが馬車を取りに行く。
馬人形の発条を巻いて動かすのを見てから、リビアはセドナを小突いた。
「あでっ」
「あんたも来なさいよ、ティファニーの一大事なんだから」
「当たり前だろ、俺も乗せろ」


