考えあぐねているセドナの肩をニコが叩いた。
顔を持ち上げると、薄荷色の瞳と視線が交わる。
「ニコ」
「ぼくに任せてください」
この場にいるほとんどの人間が凍り付いていても、ゴーレムであるニコは冷静さを失っていなかった。
普段通りの立ち振る舞いで、小動物のように怯えているティファニーに近づく。
セイクリッドが緩慢にニコを見上げてくるが無視する。
足音を聞いてか、ティファニーがはっと肩を跳ねさせてさらに縮こまった。
「来ないで」
「なぜですか?」
「ニ、コ……」
ティファニーの傍らに膝をつき、ニコはそっと肩に触れる。
するとティファニーが顔を覆ったままニコの胸のあたりにうずくまった。
涙で濡れたままの手で自分のゴーレムの服を握りしめる。
「……ニコ、私、もうダメ…」
「ティファニー?」
「ダメ……もう無理だよ……私、私。
お母さんにあんなに言われていたのに、約束……していたのに……っ」
(ティファニーの母親?約束?)
初めて聞く言葉に困惑する。
首をかしげているとティファニーが大きくしゃくりあげ、細い指が合成樹脂膜にまでくいこんだ。


