結び目がほどけ、細布がゆるむ。
肌触りのいい質の布は引っ掛かることなくティファニーの顔から滑り落ちた。
一瞬だけ、いつも見ることのない目隠しの下が露になって――
「いやあああああっ!!」
悲痛な声がその場の空気を引き裂いた。
耳に届いた者たちはぎょっとして振り向きその源を探す。
セドナやラリマーたちも同じだった。
「てぃ、ティファニー……?」
突き飛ばされたセイクリッドが呆然と名前を呼ぶ。
ティファニーは両手で顔を隠し、店の隅にうずくまっていた。
見るだけでも分かるくらい震えている。
「一体、どうし――」
「来ないで!」
近寄ろうとしかけたセイクリッドだが、ティファニーに鋭く拒絶されて動けなくなる。
その声は恐怖におののいていた。
「だめ……来ないで……見な、いで。
お願い、見ないで……」
ティファニーの指の隙間から涙が流れ出し、袖を濡らしていく。
泣きじゃくる少女を前に誰も動けないままでいた。
セドナは握った自分の手のひらに汗がにじむのを感じた。
自身の鼓動が身体の隅々まで反響している。
(あんなティファニー、見たことねえ……)
彼女が恐れに取り乱していることだけは理解できる。
けれども、どうすればいいかが分からない。


