極彩色のクオーレ






「ティファニー、こっちだ!」


「え、きゃあっ」



突如強制的に動かされたせいでバランスを崩し、ティファニーは杖をつく間もなく転倒した。


さらに悪いことにヒールが壊れてしまう。


これでは思うように身動きが取れない。


セイクリッドが助け起こそうとする間にも馬は迫り、周りの人間が「逃げて」「危ない」と口々に叫んだ。



(やっべえ……!)



最悪の想像が脳裏を駆け抜け、セドナは自分の血が不穏にざわめくのを感じる。


見回して、店の前に立つ太い街路樹に目が留まった。



「一か八かだ!」


「お、おい、セドナ!?」



セドナは走り出すと靴を履いたまま器用に街路樹に登った。


枝の上にしゃがみ、止まる気配のない馬を睨んで乾いた唇を舐める。



「……今だ!」



タイミングを合わせてそこから跳び下り、どうにかケセラの後ろに座る。



「ケセラ、しっかり歯を食いしばって捕まってろよ」


「え、ええっ!?」



セドナは何の役目も果たしていない手綱を掴み、上体を後ろに倒しながら力いっぱい引いた。