極彩色のクオーレ






気配も物音も立てずに現れ、自然に二人の会話に入っていたラリマーにセドナは一呼吸遅れてびっくりした。


ギベオンもその場から1メートルほど飛び退る。


ニコとレムリアンは驚いていなかった。


ラリマーは大げさに肩を落とす。



「いつの間にって、今だけど。


……なんだよお前らその逃げ方、磁石かよ?」


「いきなり現れたら驚くだろ普通!」


「いや、それはいい、ラリマー。


お前4年も旅してたなら危険なことなんか慣れっこでしょ、あれ止めてよ」



驚かされたことに腹が立ったのか、ギベオンが馬を指差して真顔で言う。


しかし、ラリマーは珍しく表情を引きつらせて首を振った。



「悪い、さすがのオレでも無理だわ。


そもそもオレ馬なんて乗ったこともねーし」


「使えねえ」


「役立たず」


「ちょっと、ひどくない!?」



鋭いいななきが路地に響く。


馬はもう、店の前に差し掛かっていた。


それまで傍観に徹していた利用客も店員も、誰かの口から悲鳴が迸ったのをきっかけにはじかれたようにそこから逃げ出す。


リビアは店員と何人かの客と一緒に店のさらに奥へ避難する。


セイクリッドも我に返って、棒立ち状態のティファニーの腕を引っ張った。