音がする方の人たちが、声をあげて通りの両脇や細い路地、店の中へと逃げ込む。
そこを、一頭の馬が荷車を引いて猛然と走ってきた。
興奮状態でいるのだと一目でわかる。
馬の視界に人々の姿は映っていないらしかった。
ギベオンがセドナの腕からすり抜けて目を凝らす。
「あの馬は確か鍵職人共有の……え、あの乗り手、まさか!」
馬が跳躍し、三段の小さな階段を飛び越える。
着地した瞬間、はずみでピンク色の頭が見えた。
「と、止めてええっ」
乗っていたのは、なんとケセラだった。
恐怖で泣きじゃくりながら、小さな身体を振り落とされまいと首にしがみついている。
人々はなんとか助けたいという様子ではいるが、暴れ馬に手も足も出ない。
下手をすれば、止めに入った者の命が危うい暴れ様なのだ。
いらだたしげに頭を掻いてギベオンは地面を踏みつける。
「あのバカ、乗れたこともないくせに何で馬に乗ってんだよ!」
「そんなことより、このままじゃあの店に突っ込むぞ」
「えっ、それはまずい!
何とかしねえ……って、うおっ、ラリマー!
お前いつの間にここに来たんだよ!?」


