「レムリアン、あいつの傍にいなくていいのか?」
セドナがリビアに向かって顎をしゃくってみせると、レムリアンは静かに頷いた。
「ああ、問題ナイ。
女性が多ク利用する店ヘ入ろウとスルと、リビアは激怒すルカラな。
ダカらいつモ、こウシて外で待っていル」
「なるほどなー……ん?」
両足を地面に投げ出したセドナは、何気なく通りに目をやった。
太い通りから二本に枝分かれしたうちの、彼らが面していない方。
こちらに比べて細いが、人の姿はそれなりにある。
その間を縫うように、小さい真っ黒なボールが弾みながらこちらに向かっていた。
分岐点で奇妙に方向転換し、ベンチの前まで近づいてくる。
「なんだ、あれ?」
セドナがベンチから身を乗り出したとき、その球体もセドナの眼前へと迫った。
よく見ると、明るい紫色で何かペイントが施されている。
それが目だと理解した瞬間、ぽこんっと間の抜けた音が響いてボールが破裂した。
「うわっ!」
音と悲鳴を聞いて振り返った通行人たちの視線が、ピンク色の煙に顔を包まれているセドナに集まる。


