「ごめんください」
工房に、聞き覚えのある声が響く。
見ると入口に、様子を伺うエレスが立っていた。
瞬間、ヒーラーの態度がころっと変わる。
「いらっしゃいま」
「エレスさんじゃないですか」
「あ、セドナさんと一緒にいた……」
ヒーラーを遮って、少年が前に出る。
知っている顔を見つけ、エレスの緊張が少しだけほぐれた。
背後で舌打ちが聞こえたが気にしない。
「何かご用ですか?」
「ええ、セドナさんはいる?」
「セドナは今」
「まあまあ、ステキなお嬢サマ!
なになにぃ~?ウチの見習いにご用かしらぁ~?」
仕返しのつもりなのか、少年を押しのけてヒーラーがエレスの前に立った。
エレスはびっくりしながら怖々頷く。
「は、はい。あの、あなたは……?」
「あらごめんなさい、驚かせちゃったかしら?
ワタシはヒーラー、入院中のルーアン先生に代わってココの経営をしているの。
もちろん、依頼も引き受けているわ。
セドナちゃんの兄弟子、というところかしらね、初めまして」
「は、初めまして、エレスと言います。
先程、セドナさんに首飾りの依頼をしました」
「ふぅ~ん。首飾り、ねぇ~」
ヒーラーが口に手を当てる。
その下に浮かぶ歪んだ笑みを、誰も目にすることはなかった。


