「確かに昨日はちょっとびっくりしちゃった。
でも私はそんなことでは怒らないよ。
だからもう謝ったりしないで、セイクリッド」
ティファニーはつとめて、明るい声調で言い切った。
でないとセイクリッドにつられて、こちらまで暗くなりそうだったからである。
さらに笑んでみせると、セイクリッドが安堵のため息を吐き出した。
「……良かったあ。
怒らせてしまったのではと心配で、ゆうべはあまり眠れなかったんだよ。
ティファニーは本当に優しいんだね」
「ううん、優しいんじゃなくて。
ぎべ……仕掛け職人の友達にも言われたんだけど、私ってちょっと甘いところがあるから。
直さなきゃっていつも思っているけど、なかなかうまくいかないなあ」
彼女とのやりとりを思い出す。
ラリマーにもっと厳しく言ってやるべきだとお説教を受け、なぜか一緒に聞いていたケセラが怯えていた。
でも、ギベオンやリビアのようになるのには、かなりの勇気がいる。
するとセイクリッドは首を横にふり、ティファニーの頭をそっと撫でた。
「そんなことはないよ。
こうして、誰にでも分け隔てなく優しく接するのが、ティファニーのいいところだ。
変に気にして、その長所をなくしてしまってはもったいない。
自分で『甘やかしていない』と分かっていれば、それでいいんじゃないのかな」


