少し離れて店の前に立つ若い女性たちが、声を潜めながらティファニーたちのことを話す。
それを聞いてか否か、斜向かいのベンチに座るセドナは、膝に頬杖をついて仏頂面をしていた。
露骨に不機嫌そうなその表情に、見た人たちは肩を跳ねさせたり「ヒィッ!」と短く悲鳴をあげたりした。
話していた者も、慌てて口を閉じてその場を離れていく。
もちろん、彼にそのつもりは微塵もなかったのだが。
「どうしたんですか、セドナ」
右隣に座るニコが、屋台で買った菓子を食べながら尋ねる。
セドナは不機嫌なまま、彼も見ずに聞き返した。
「……ニコ、なんであいつがティファニーと一緒にいるんだよ。
てか、当然みたいな顔して家に来てたのが腹立つわ」
「セイクリッドのことですか?」
「他に誰がいるんだ」
「リビアもいますが」
ニコの言葉に、反対隣にいるレムリアンが首肯した。
その通り、ティファニーたちと同じ場所にはいないが、リビアも店に来ていたのだ。
別に待ち合わせをしていたのではない、まったくの偶然である。
そしてリビアはセドナやティファニーの恋愛事情をよく知る一人であるから、気にせず一緒にいるのだ。


