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「……あ、このコンパクト、レースがついているんだ」
「きれいな海洋色だね。
でも、君にはこっちの花色のものの方が似合うんじゃないのかな?」
「えっと……こっちには大きなリボンがあるんだね、かわいい」
ティファニーは持っていたコンパクトを戻し、セイクリッドが勧めたコンパクトを丁寧に触った。
同調しながらセイクリッドは、他にいいコンパクトはないかとテーブルを見回す。
小さな女の子から若い女性まで利用する、三叉路に構える小物屋。
その店先に並ぶ彼女らは、仲睦まじい恋人同士に見えなくもない。
目立つのが苦手なティファニーに気を遣ってか、セイクリッドのまとっている服はやや地味な色合いだ。
けれども白銀の頭は隠せず、他の客や通りかかった人たちの視線を集めた。
「ねえ、あの人って、セイクリッド王子よね?」
「わあー、こんなに近くで見れたの初めて」
「隣にいる子は……もしかして、クラウンの刺繍屋の子?」
「当然でしょ。最近、セイクリッドと一緒にいるところ、よく見るよ」
「王子と一緒にいられるなんて、ちょっと羨ましいな」
「つまりクロアに勝ってるってことじゃないの?」
「すごーい、あの美女を負かせちゃうなんて、やるわねえ」


