極彩色のクオーレ






老婆は笑顔と同じく穏やかな声で喋っていたので、隣にいても騒音でかき消されてしまう。


とりあえず、ニコは老婆の口が動いているときは耳を近づけるようにした。


質問された場合、自分の答えが彼女の鼓膜に届くかどうかは微妙であったが。



『こうやって誰かの生まれた日をみんなで祝うのはいいわねぇ』


『そうですね』


『旅人さん、あなたはいつが誕生日なのかしら』


『ぼくのですか?』


『ええ。誕生日というのはねぇ、もちろんみんなにお祝いしてもらえる日。


でもねえ、それだけじゃないのよ。


こうしてお祝いしてもらえるということは、自分がこれだけの人に支えられているという意味なの。


迎えた人は喜びつつも、感謝の気持ちを忘れてはいけないのよ』


『感謝ですか』


『それに、誕生日は一つ歳を重ねるときにしかやってこないかけがえのない日。


だから、自分が今まで生きてきた道を振り返るいい機会でもあるの。


生まれた日に見返すことで、また新しく生まれ変わった気分になって、次の誕生日まで生きていくのよ。


あなたも、みんなからお祝いをもらった夜は、ゆっくり考えてごらんなさい。


これまでの生き方と、これからの生き方をね』