ラリマーが焦って立ち上がり、ティファニーに捲し立てるように言いながら歩み寄る。
きょとんとして、ティファニーはニコの方を向いた。
「え?でもニコが」
「そっ、そぉ~んなことねえって!
ああ、それよりティファニー、この間お前に依頼をしたばあさんが……」
曖昧に笑い、不自然にならないよう話を変えていくラリマーをぼんやり見ながらニコは呟いた。
「誕生日、ぼくがこの世に生まれた日、か……」
ルースへ来る前にも、その村で誕辰のお祝いに参加したことがあった。
主役は泊まった宿の一人娘だった気がする。
住人すべてが顔見知りというような小さな村では、誰かの誕生日はちょっとしたお祭りレベルの祝事であった。
大半の村人がその宿の食堂に集結し、その娘の成長を大いに喜んだ。
ニコも宿泊客ということで参加したが、知り合いもいない輪にあまり入らず、隅で食事を口に運びながら彼らの様子を観察していた。
特に酒の入った集団が目立った行動をし、その空気につられて他の人たちも盛り上がった。
『どんちゃん騒ぎ』という言葉がぴったりだった。
ただ、ニコの隣に座っていた老婆(主役の娘の祖母だ)だけが、温かく笑んで彼らを見守っていた。
必然的に、ニコはその老婆の独り言に近い話に付き合うことになった。


