極彩色のクオーレ






「そうだ、それなら、ニコが初めてルースに来た日をお誕生日にしようよ」


「初めて、ですか」


「うん!それなら覚えているかな?」



ニコは記憶を巡らせる。


途中で出会った狩人たちの会話や、泊まった宿の内装、どこかに日付を書いたものがあっただろうか。



(そういえば、カウンターの横に小さなカレンダーがあったような……。


誰かに言われて、女将さんが慌てて一枚剥がしていましたっけ)



目を閉じて、そのときぼんやりと眺めていた女将の動きを思い出す。


月が替わっているのに前月のままだと指摘されたカレンダー。


めくった下に現れた月の挿絵は、きれいに赤く染まった木々が枝を広げたものであった。



「……朽葉星の初日、だったと思います」


「ということは……角彗(かくすい)?」


「多分」



ティファニーはリビングと廊下を仕切るドアのすぐそばにあるカレンダーに駆け寄る。


一枚めくって点字を読み取り、角彗の項目に赤いペンで『ニコ 誕生日』と書いた。


『角彗』と記してある点字を花丸で囲む。


目が見えなくても針仕事ができる彼女だ、字を書くことも苦戦するそぶりをまったく見せない。


小春星奎彗のちょうど十日後であった。