極彩色のクオーレ






「そういえば、ニコがここに来てくれてからもう1年くらい経つんだね」


「そうなんですか」


「うん。私日記とか書かないから正確な日付は覚えていないけど。


でも、末夜星(すえよぼし)まではまだ遠かったと思う。


朽葉星(くちはぼし)の頭だったっけ…


そこまで寒くなかったし、まだ麁啼鳥(あらなきどり)も鳴いてなかったし」


「ティファニー、朽葉星と末夜星じゃ大分違うぞ」


「あ、あれ?」



ソファの隣に腰を降ろして、ラリマーが頭の後ろで腕を組む。



「でもニコって、こんな寒い時季にルースに来たのかよ?


ルースには観光名所なんてものはねえけど、でもどうせ来るなら春とか夏とかにすれば良かったのに。


なんでわざわざ初冬に来ようって思ったんだ?」



彼のいう通り、ルースは観光業がそこまで盛んな街ではない。


観光地がなくても、溢れかえる技術や資材を求めてたくさんの人が出入りするからだ。


もしかしたら、工房や作業場がある意味観光地なのかもしれない。


けれど、人の往来が増えるのはきれいな花が咲く春や、草木の緑がしみる初夏である。


初冬に訪れる人は、そこまで多くない。


理由は寒かったり山越えが厳しくなってきたりと様々であるが、ニコは不思議そうに首をかしげた。






*朽葉星…11月のこと。
*末夜星…12月のこと。