ラリマーもほっと息を吐く。
もちろん、ティファニーが落ち込まないですんだという意味だ。
鏡を畳み、ぼんやりしているニコの背中を叩く。
「良かったじゃねえか、ニコ!
ご主人から最高のプレゼントもらえたな」
「あ、はい」
「お前なー、本当に嬉しいのか?」
「はい」
ニコは頷くも、やはりその顔に変化は見当たらない。
言葉と表情がまったく合っていないのだ。
ラリマーはため息をついて、もう一度ニコの背中を、今度は強めに叩いた。
「それならもっと嬉しそうにしろよ」
「これでも充分表出しているつもりなんですが」
「嘘つけ、ずっと真顔じゃねえか。
お前って基本真顔だよな。
そういえばオレ、お前が笑ってるところを見たことねえぞ。
名前、ニコのくせに」
ラリマーが言ったところで、ティファニーが手を滑らして糸箱を取り落とした。
小さいものが落下したには大きい音が出たので、二人の視線がそちらに向く。
中身は零れていないが、慌てた様子でティファニーは床を探っていた。
ニコが拾い上げ、彼女の手に握らせる。


