ティファニーの横顔が怯えたものになる。
生唾を呑んでセドナはもう一度街の方を見たが、どこにも人の姿は見当たらなかった。
真っ暗だから見えていないというわけではなさそうだ。
どこかに何かがいたという形跡すら、かけらも感じられない。
注意深く観察してから、セドナはそれをティファニーに伝えた。
「誰も何もいないぞ?気のせいじゃないのか」
「気の、せい……」
呆然とした声でティファニーが繰り返す。
それから、首を振って街に背を向け、取りつくろうような声で言った。
「そっかあ、私の気のせいか。
ごめんねセドナ、暗いのに変なこと言っちゃって」
「べ、別に怖くなんかねえよ!」
言ってもいないことを否定して、セドナはティファニーの手を引いて歩き出した。
相手がティファニーじゃなかったら確実にいじられていただろう。
安堵の混ざった息を吐き出して、ティファニーはふとセドナから聞こえた音に疑問を持った。
何か小さくて硬いものと紙とがぶつかり合う音だ。
「セドナ、紙袋か何かを持っているの?」
「え?紙袋というか……ああっ!」
答える途中で、セドナがしまったという声で叫んだ。
宵闇の空に反響し、驚いたフクロウらしき鳥たちが木から飛び立つ。
ティファニーは目をぱちくりさせて、みるみる真っ青になっていくセドナを見上げる。
今までずっと提げていたカバンの存在に気づいたセドナは、まるでこの世の終わりでも見たかのような表情をしていた。
「セドナ?」
「やっべえ!これ、先生に頼まれて買った部品だった!」


