極彩色のクオーレ






詳しく聞きたかったが、あいにくセドナにそのような勇気はなかった。


かといってどう受け答えればよいかも分からず曖昧に返事をして場を切り抜ける。


気を抜いたら緩みそうになる頬をぱちんと叩いた。


その乾いた音が、西の森にかすかに響く。


すると、冷気をはらんだ夜風が吹いて木々が揺れた。


擦れ触れ合う枝葉のその音は、まるで人の囁き声にも聞こえる。


ただでさえ森は夜というだけで不気味になるというのに、この音とうなじを撫でるひやりとした風のせいでさらに怖さが増す。


ティファニーの手を握っていなかったら、かすかな音にも情けなく驚いてしまいそうだ。



「ちょっと寒くなってきたね」



何気なく口を動かして、ティファニーがはっと息を呑んだ。


まだほどかないままでいる手に、くっと力がこもる。


それがさっきとは異なる意味だということは、セドナもたやすく理解していた。


ティファニーは足を止め、後ろを振り返る。


勢いで長い髪が揺れ浮かび、セドナの体に当たったが気づいていないようだ。


また風が現れ、さわさわと涼やかな音色が全身に当たる。


その音がゆっくり流れて行っても、ティファニーは街の灯りに向いたまま動かなかった。



「どうした?」


「……今、人の気配がしたような気がした。


誰かそこにいなかった?」