極彩色のクオーレ






うっかり思い出してしまい、セドナは表に出すまいと奥歯を噛み締めて耐える。


ティファニーの手を握りしめないよう、反対の手で自分の太ももを叩いた。



「そういえばラリマーがね、セイクリッドのことを話す若い女の人たちを見ていて怒ってたことがあったわ。


あんなのの一体どこがいいんだとか、オンナゴコロは本当に理解できないとか。


そしたら一緒にいたリビアに叩かれていたわ」



光景がたやすく目に浮かぶ。


人形を出していないだけマシなことだ。


セドナは頭の中でラリマーを一発殴り、気を落ち着かせる。


なんだか今日は取り乱してしまことが多い。



「……でも」



ふいにティファニーの声音が少しだけ下がった。


軽く俯いているので、表情は伺えない。


歩きつつ見ながら待っていると、ティファニーがセドナの方に向いた。



「私は王子様じゃなくて、普通の人がいいな」



街灯の白い光に照らされたことで、はにかむティファニーの顔がよく見えた。


両頬が淡く赤色に染まっている。


同時に、馬車を避けたときからずっと掴んでいる手が、わずかに握り返された。


その瞬間、セドナは全身に電流が駆け抜けたような錯覚に囚われた。


左胸の奥が、とくんと跳ねる。



(……まさか、な)