「……そりゃ、面白いわけないだろ。
ティファニーが、セイクリッドと仲良さげに話してるのなんかさ」
「え……?」
瞬間、周りの音が、水を打ったようにすべてなくなった。
それが実際に起こったのではなく自分の錯覚だと気づいたのは、我に返った数秒後。
ティファニーも同じらしく、口をわずかに開いてぽかんとしている。
そして、二人は同時に顔を赤らめて互いから顔を背けた。
「わわっ、悪い、ティファニー!
俺今めちゃくちゃ変なこと言っちまった!」
「だ、大丈夫だよ!
私セドナの言ったこと聞いてないから!
何にも聞いてないから!」
「本当にごめん、忘れてくれ!」
「う、うん、そうする!」
早口に言い合ってから、それぞれ暴れる胸の奥を落ち着かせた。
セドナはすっかり宵の色になった空をあおぎ、ティファニーはあちこちに伸びる長短も濃淡も異なる影を見つめた。
「……セイクリッド、いきなり私にあんなこと言ってびっくりしたけど。
でも彼、すごくいい人だよ。
噂通り優しくて、ルースの問題を真剣に考えてくれている。
街の人たちにも分け隔てなく接していて……なかなか出来ないことだと思う」
何か言わなきゃと思ったティファニーは思考を巡らせ、さっきまで一緒にいたセイクリッドのことを口にした。
口にしてからこっそり後悔したのは言うまでもない。


