照れているセドナには、あれこれ言わない方がいい。
この短時間で少年は学んだので、軽く流しておく。
支払いを済ませて、長居したカフェテラスを出る。
セドナの足取りがとても弾んでいたが、指摘したらまた叫ばれそうなので、黙っていることにした。
「あ、そうだ」
足を止め、セドナは少年に荷物を渡した。
自分の財布を取り出し、中を確認し始める。
「どうしました?」
「先に工房に戻ってくれよ。
俺、さっきの依頼の買い出しに行ってくるからさ。
これ以上遅くなると、先輩にねちねち文句言われちまう。
使い走りにしちゃって悪いけどさ」
「分かりました。
ヒーラーさんにはそう伝えておきますね」
「おう、頼んだ」
言うや否や、セドナは金属加工の区画へと走る。
人ごみに紛れ、あっという間に姿は見えなくなった。
「……めちゃめちゃ喜んでいますよね、あれ」
少年は誰にともなく言って、ルーアン工房に向かった。


