「何だよそれ、まるでさっきまでの俺が別人みたいじゃないか」
「うん、別人みたいだったよ」
「……俺、そんなにテンパってたのか?」
「すっごく強引だった。
そんなセドナを見るの初めてだったから、けっこうびっくりしちゃった」
ティファニーがおどけて言うと、セドナは額に手を当てた。
深々ときれいに礼をする。
「……マジですんませんでした」
「気にしないでいいよ、でも良かった。
セドナ、なんだか怒っているように感じたんだけど、そういうわけじゃなかったんだね」
歩き出してティファニーが呟くように言う。
その隣に並んでセドナは肩をすくめた。
「怒ってねえよ、そんな風に見えたのか?」
「うーん……なんか、ピリピリしてる感じがしたの、何に対してなのかは分からないけど。
表情とかも見えなかったけど、ムスッとしてるのかなーって、何となく思ってた」
「あー、ムスッとはしてたかもな」
後ろから、轍が地面に擦れる独特の音が聞こえてくる。
セドナはティファニーを庇いながら脇へ寄った。
右手を握りかけて、急いで左手に変えたのは、さっきまでのことを考えてだろうか。


