セイクリッドの言葉は優しいけれど、どこか強いものがあった。
それで疑う部分がないと分かる。
「そ、そうだったんだ……」
ティファニーはそう答えるのがやっとだった。
彼の言葉の意味は分かるのだが、理解が追いついていないのである。
混乱しているティファニーをよそに、セイクリッドは歩み寄って彼女の両手を取った。
「ねえ、考えてみてはくれないかな?」
「でも私……まだ、セイクリッドと一緒にいたこと、少ないよ」
「時間の長さは関係ないよ。
ただ必要なのは、君の気持ちだけさ」
「気持ち?」
「そう、僕と付き合う気があるかどうか。
……ゆくゆくは、僕と結婚したいのかどうか、ということだよ」
「けっ……」
やや落とした声でささやかれ、絶句したティファニーの顔がまた赤くなる。
ラリマーとタンザも、完全に傍観者となってやり取りを見届けていた。
――ただ一人を除いて。
「ちょっと待ちやがれてめえーー!」
『結婚』という言葉にとうとう爆発したようだ。
大きな衝撃を受けた分、その反動も大きく飛躍する。
歯ぎしりを立て、セドナが物陰から飛び出した。
一直線にセイクリッドの背中に向かい、振り向きかけた彼を突き飛ばす。
殴ったり蹴ったりしなかったのは、セドナの最低限の優しさが働いたからなのか。


