「うるせえ」
セドナが眉1つ動かさず、ラリマーの腹部に肘をめり込ませる。
呻き声を漏らさないで悶絶するラリマーにタンザは苦笑した。
どうしてこいつは、殴られると分かりきっていることを口にできるのだろうか。
わざとなのか無意識なのか性分なのか、未だによく分からない。
ティファニーの返答を聞いたセイクリッドが、空色の瞳に光を転がして「ふぅん」と言った。
「けっこう可愛いことを言うんだね、ティファニー。
まあ、君と話しているときから、そんな雰囲気は感じていたけど」
「か、からかわないでよ……」
「あはは、ごめんね」
セイクリッドが軽く笑声を上げた。
それだけでも、彼の爽やかな人柄が溢れ出す。
ティファニーは赤らめた頬に手を当てて、ふいと横を向いた。
ちょっとした反抗心が働いたのだろう。
しかしセイクリッドは気にせず、穏やかな笑みを絶やさないで彼女を見つめた。
「ティファニーって、見ているとちょっと意地悪したくなっちゃうんだよね。
そのせいかな、こんなことを話してしまったのは。
ひょっとして、仲良しの友達にもよくいじられたりするんじゃないのかな」
「そんなことは、ないと思うけど」
「……ねえ、誰も好きな人がいないのなら、僕と付き合わないかい?」


