「もしかして、怒らせちゃった?
もしもそうなら、ごめんね」
セイクリッドは肩をすくめて謝罪すると、少しだけティファニーの方へ顔を寄せた。
気配を感じたのか、ティファニーがどきりと身を縮める。
「でもニコが傍を離れたことを知ったら、ティファニーは必ず彼を探しに行っただろう?」
「もちろんだよ、何も言わないでどこかへ行っちゃったんだから」
「そのことも教えなかった理由の1つだけど。
……僕は君と、二人きりになりたいと思っていたんだ」
「え?」
ティファニーは戸惑いながら首をかしげる。
するとセイクリッドはさらにティファニーに近寄り、優しく微笑んだ。
「君は、僕と二人きりは嫌だった?」
「えっと……嫌とか、そうゆうのじゃなくて、えっと」
しどろもどろに答えながら、ティファニーは数歩後ずさった。
セイクリッドは石垣から背を離し、おどけてくるりとターンしてティファニーの後ろに回りこむ。
流れるような、それでいて洗練された動きである。
王家の者だから、それなりに舞踏を心得ているのだろう。
思わず目を奪われてしまったラリマーは、我に返って自分の頭を殴った。


