「私はエレスといいます。
母の誕生日に首飾りをプレゼントしようと思っていて。
それをあなたに作ってもらいたいの」
少女・エレスがロケットペンダントのチャームを開いて、中の写真を二人に見せる。
そこにはふくふくした優しそうな面輪の女性とエレスが笑顔で写っていた。
彼女が、エレスの母だろう。
セドナの目が輝く。
これは後で彼に聞いたことだが、セドナは最初の依頼なら首飾りがいいと、ずっと考えていたのである。
「首飾りか」
「ええ。私、もうすぐ結婚して、ルースを出るの。
ルースで母の誕生日をお祝いできるのは今年で最後。
父も五年前に他界してしまって、私がお嫁に行ったら母は一人になってしまうから……。
だから、思い切ってゴージャスなプレゼントにしようと考えたのよ」
「そんな大事なプレゼント……、俺なんかが作っていいのか?」
不安げになるセドナに、エレスは大きく頷いた。
「もちろんよ。だってあなた、依頼が来れば一人前として認められるまで修行したんでしょう?」
「よ、よく知っているな」
「うふふ。ティファニーちゃんに、刺繍をお願いした時に教えてもらったの。
『セドナの作る装飾品はすごい』って。
かわいい子に愛されているわね、あなたは」
「うわっ!!っそそ、そ、そんなことねえって!」


